2026.01.23

「横割れ」より怖い「縦割れ」の恐怖。アスリートの爪を守る「絶対条件」とは

前回コラムでは、手軽なマニキュアや硬すぎる補強材が、かえって爪を弱くし、負のループに陥れてしまう実態をお話ししました。今回は、その先に待っている深刻なリスクと、選手が本当に身につけるべきものについてお伝えします。

1. 【実例】これが「間違った補強」を続けた末路です

これが、良かれと思って行った「アクリル補強」が剥がれた後の真実の姿です。
白く残っているのは、剥がれきれなかったアクリルの残骸。
そしてその周囲は、アクリルが外れる衝撃に耐えきれず、自爪の表面(層)が一緒に持っていかれてしまっています。
結果として、最も負荷がかかる爪の先端は、薄くなりガタガタになっています。

次に2枚目の写真を見てください。アクリル補強を繰り返し、自爪が極限まで薄くなってしまった選手の爪です。爪の中央に「縦の亀裂」が入っているのが分かりますか?

2. なぜ「縦の亀裂」は絶望的なのか

爪のトラブルには「横割れ」と「縦割れ」がありますが、その厄介さは比較になりません。

  • 横の亀裂: 爪が伸びて先端に来れば、切ることでリセットできます。

  • 縦の亀裂: 伸びようとする力さえも「裂ける力」に変わり、亀裂がどんどん根元の奥深くへと進行してしまいます。

一度縦に割れると、日常生活のわずかな振動でも激痛を伴います。
爪は角質化した「死んだ組織」です。皮膚の傷とは違い、一度入った亀裂が自然にくっついて治ることは絶対にありません。 伸びてくるそばから裂け続けるため、復帰には多大な時間を要します。

3. 「誰かに依存する」リスクを考える

「爪が割れたら、ネイルサロンで直してもらえばいい」 もし、そう思っているとしたら、それは選手にとって非常に大きなリスクになります。

よくあるのは、登板を数日後に控えた大事な練習中に爪が割れるケースです。
本人も周りもパニックになり、慌てて近所のネイルサロンを探し回る。しかし、急な予約はなかなか取れず、ようやく駆け込んだ先で待っているのは、前編でお伝えしたスポーツには不向きな「アクリルやジェル」での固定です。

必死の思いで「その場しのぎ」の処置をしてマウンドに上がるのか。 それとも「初期段階の違和感に自分で気づき、その場ですぐに適切な対応ができる」のか。

大事な試合を前に、誰かに依存しなければ戦えない状況と、自分のコンディションを自分で支配できている状況。どちらが本当に選手本人のためになるかは、言うまでもありません。

爪の管理を人任せにするということは、自分のパフォーマンスの主導権を他人に握らせているのと同じなのです。

4.「今まで大丈夫だった」は、何の保証にもならない

「うちは今まで一度も割れたことがないから大丈夫」 そう思うかもしれません。でもそれは、「今まで一度も風邪を引いたことがないから、一生風邪を引かない。だから健康管理なんてしなくていい」と言っているのと同じです。

風邪を引かないために手洗い・うがいをするのと同じで、爪も「トラブルが起きにくい状態」を日頃から自分で作り、管理することが不可欠です。
「割れてから」ではなく「割れる前」の予防。この意識の差が、選手の選手生命を分けます。

5. 誰も教えてくれなかった「一生モノの知識」

実は、この「管理の仕方」を、私たちは一度も誰からも教わらずに大人になっています。
ほとんどの人が「親にやってもらっていた通り」か「自己流」で一生を過ごします。間違った扱い方が家庭内で引き継がれ、それが正しいと思い込んだまま、将来を左右する時期の高校球児になっているのが現状です。

一般の方ならそれでもいいかもしれません。しかし、一球に人生をかける野球選手にとって、爪の状態で将来が決まってしまうと言っても過言ではないのです。

6. 目指すのは「選手の自立」と「自己管理能力」の向上

私が目指しているのは、爪を綺麗にすることではありません。
選手の「爪の自立」、そして「自己管理能力の向上」です。

爪の形や適した長さは一人ひとり違います。だからこそ、定期的にチェックし、その選手に最適な管理を習慣化させてあげる「爪トレーナー」という存在が、今の高校野球界には必要なのです。

7. 保護者の皆様へ:負のループを断ち切るために

一度大きなトラブルが起きると、状態は刻一刻と悪化します。そうなってから駆け込んでも、待っているのは爪をさらに弱くする「負のループ」です。

大切なお子さんの爪を、根拠のない「なんとなく」の管理で終わらせないでください。割れてから慌てるのではなく、「トラブルを未然に防ぎ、自分で自分の爪を守り抜く一生モノの力」を身につけさせてあげてください。

「一生モノの爪管理の知識」を得たい、チームとして本気で取り組みたいという方は、ぜひご相談ください。